胃痛

胃痛とは

胃痛胃痛を経験したことのある患者様は非常に多いことでしょう。
ただ、一般的な症状であるがゆえに軽視されがちな側面もあります。胃痛の原因には様々な疾患が隠れていることがあり、胃がんのような緊急性の高い疾患が引き金となっている可能性も考えられます。
胃痛の症状を自己判断で軽んじることなく、早い段階で病院にかかるようにしましょう。

胃痛の症状

胃は身体の中でみぞおちの辺りにありますので、その周辺に何となく違和感がある、キリキリとした痛みが走っていたら胃に何らかの異常が発生していると考えられます。
痛みの大きさも、少し痛むが生活に支障がないようなレベルから、日常生活にも支障が出るレベルまで様々です。また、痛みに伴って吐き気や不快感を生じるケースもあります。

胃痛の原因

下記のような疾患が胃痛の原因として考えられます。

急性胃炎

食べ過ぎ・飲み過ぎ、ウイルスや細菌への感染、身体や心のストレス、自律神経の乱れといった原因により、突発的に胃に痛みが生じます。
テレビなどでもよく取り上げられていますが、「アニサキス」という魚介類に寄生している虫が口から体内に入り込み、胃に突き刺さることで急性胃炎を起こすケース(アニサキス症)もあります。

慢性胃炎

突発的な症状を引き起こす急性胃炎に対して、胃炎の症状が長期化すると慢性胃炎と分類されます。慢性胃炎の原因について、以前は加齢による影響が大きいとされてきましたが、その後の研究により近年ではピロリ菌への感染が主な原因として考えられるようになりました。通常、細菌は胃の中の強い酸性に耐えきれず消滅してしまうのですが、ピロリ菌は特有の酵素の働きにより胃の酸性に対する耐性を持っており、長期間胃の中に生息し続け、胃粘膜の炎症を繰り返し誘発するのです。

胃潰瘍

通常、胃の粘膜は胃酸の強い酸性に対する耐性を持っていますが、何らかの原因で胃粘膜が胃酸によって溶かされ胃に炎症が生じると、みぞおちの辺りに不快感や痛みといった症状があらわれます。これを胃潰瘍といいます。症状が重いケースだと、血の混じった便(タール便)が出たり、胃酸が混じって黒くなった血を吐血したりすることもあります。

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアは、胃カメラ検査や血液検査などで異常が確認できないにもかかわらず腹部の症状が続く疾患です。
近年の研究の進行により、身体や心へのストレスやピロリ菌感染といった様々な原因が機能性ディスペプシアの発症に繋がっていると分かりつつあります。

機能性ディスペプシアについて

胃痛の検査

内視鏡室胃痛の原因には様々な疾患の可能性が考えられます。胃痛の原因の特定には、痛みに関する詳細(痛みの強さ、場所)、患者様の生活習慣や既往歴、各種検査(血液検査、胃カメラ、腹部エコー)の結果等のデータを用い、専門医が診断を出します。

当院の胃カメラ検査

胃痛の治療法

患者様に出された診断結果に応じて、下記のような治療を実施します。

急性胃炎の場合

食事内容をコントロールしたり、お薬を内服したりすることで症状の緩和を図ります。アニサキスが原因となっているケースでは、内視鏡によって胃に突き刺さっているアニサキスを除去する処置を実施します。

慢性胃炎の場合

現在も慢性胃炎の原因に直接アプローチする治療方法は残念ながらありませんが、ピロリ菌の除菌は一定の効果が期待できます。一回のピロリ菌除菌で90%程度除菌は完了しますが、効果が十分でない場合は二回目の除菌を実施するケースもあります。

胃潰瘍の場合

軽度の胃潰瘍の場合、お薬の内服で症状の緩和が期待できます。検査にて進行した潰瘍が見つかった場合や、潰瘍から出血し重い貧血の症状があらわれている場合は、約1〜2週間ほど入院が必要となることがあります。入院中は、絶食や点滴の実施で病状の改善を図ります。

機能性ディスペプシアの場合

機能性ディスペプシアの治療には、基本的な生活習慣の見直しが重要です。暴飲暴食を避け、栄養バランスの整った食事を心がけるほか、適度な運動習慣を身につけたり、ストレスを上手く解消したりすることが大切です。
昨今の健康ブームによって、巷では健康に関する大量の情報が溢れかえっています。中には根拠のない怪しい情報も混ざっていて、どの情報を信じて良いのか分からなくなることも多いと思います。そんな昨今だからこそ、ぜひ専門医による適切なアドバイスを参考にしていただき、効果的な治療を進めていただければと思います。生活習慣の改善は、胃痛のみならず様々な症状の改善・予防に効果的ですので、ぜひ専門医にご相談ください。

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